「愛着」と「毒親」:『愛着障害』を読んで
こんにちは、烏丸です。
愛着スタイルの伝達とその影響:烏丸の場合
岡田氏はこの本の中で愛着スタイルと愛着パターンという概念に触れています。愛着スタイルというのは愛着パターンの派生であると考えられ、愛着パターンは幼児期に周囲の人との関係で発現する愛着の現れ方のことを示しています。
岡田氏は愛着スタイルが親から子へ伝達されやすいと言及しており、それは親子の関わり方と関係があるのではないかと考察しています。例えば、親が子どもに関心を持たない場合では子どもも親に対して関心を持ちにくいというようなことです。
この部分について、私は深く頷けるところがありました。同書の巻末にある「愛着スタイル診断テスト」で私は「恐れ-回避型(傷つくことに敏感で、疑り深くなりやすいタイプ)」と診断されました。このタイプは愛着パターンのうち「回避型(相手にあまり愛着を示さない)」と「抵抗/両価型(過剰に愛着を示すが、離れてしばらくすると相手を拒絶する)」の2つと関係があるとされています。私の母親は「抵抗/両価型」の性質を強く持っていると考えられます。
母親は過干渉で私の行動を全て把握しようとしました。しかしそれを拒否しようとすると、「心配だから」「~しないと…されて困るでしょ」といったような罪悪感や恐怖を植え付けるような発言をしました。また自分の意見や考えと異なることを私が発言・行動すると感情的に怒ることが少なからずありました。このことから私は表向きでは「母の機嫌を損ねないように」行動し、その実裏では母親の気に食わないことをするという二面性を持った人間になりました。
このことは現在も尾を引いています。母親がいないのにも関わらず、母親の意に添わないような行動をするときにパートナーに隠そうとするのが一つの例と言えるでしょう。パートナーはそういった行動の制限や抑圧をしないのですが、私の内側にいる母親が文句を言うような気がして罪悪感からそういった誤魔化しや嘘をつきそうになります。この状態は『愛着障害』の中で述べられているような「愛着スタイルの伝達」と言えます。つまり、母親の両価的な行動が私の裏表のある性質に影響したということです。
内面化された「毒親」と愛着障害
このように私の行動は、内面化された「母」の存在に支配されていると言って差し支えないでしょう。実際母親がいるかいないかに関わらず、過去の私が母親にされたことに現在の私が左右されているような状況です。このような「毒親の内面化」は、他の毒親持ちの人にも起こっている場合もあると考えます。
この本における「愛着障害」とこの「毒親の内面化」には深い関わりがあると言っていいでしょう。「毒親」という子どもにとっての「悪影響」が内面化されることによって、愛着が不安定なものになるからです。
毒親持ちの「愛着障害」を治すためには、内面化された「毒親」をいかに消していくかが大事な作業になってくると考えます。それを前提にして考えると、毒親問題は物理的距離の問題だけではなく心理的距離の問題もあるということがわかります。毒親から離れただけではゴールではない、心の内の「毒親」がいなくなることが真のゴールだと私は思います。
- 作者: 岡田尊司
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