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I am the heartgazer. ACの独り言

心理的虐待サバイバーの経験や考察を執筆していきます。

内面化された「毒親」

こんばんは、烏丸です。

今回は内面化された「毒親」についてお話したいと思います。

 

「イメージの親」:『不幸にする親』からの解放

この内面化された「毒親」という考え方ですが、ダン・ニューハースが『不幸にする親』の中で似たようなことについて言及しています。

私たちはだれでも、2種類の親を持っています。実在する人間の親と、心のなかに住む「イメージの親」です。(ダン・ニューハース, 玉置悟訳, 『不幸にする親:人生を奪われる子供』, 2012, 講談社

 ニューハースは本書の中で、親の支配から将来を解放するには実在の親との関係性はもちろん、「イメージの親」の正体を突き止めることが重要だと述べています。つまり、「イメージの親」がどのように自分に影響を与えているのかということを突き詰めることが必要だということです。

その詳しい内容は本に譲るとして、今回はその「イメージの親」、自分に内面化された「毒親」に注目して話を進めていきたいと思います。

毒親からの精神的な支配

ではまず「内面化」というのはどういう状態かを考えてみましょう。例えば家の外、親がいないところで何かをしようとしたときに「これをしたら毒親になんて言われるだろうか」や「毒親にどう思われるだろうか」などということを気にしてしまうことはないでしょうか。その「今ここにいない毒親」というのが内面化された「毒親」です。物理的距離があっても、その存在を気にしてしまう状態になることをここでは「内面化」と定義します。

この内面化された「毒親」というのは非常に厄介で、実際に毒親がいなくても子どもの首を絞めつけます。「毒親」が内面化された子どもは、常に内なる毒親の影に怯えながら行動することになります。その場にいない「毒親」に行動と精神を支配されているのです。

この精神的な支配は、以前から毒親に行われていた直接的支配によって確立されたと言えるでしょう。具体的には、幼い頃から行動を監視され文句をつけられていた場合、毒親から離れても行動するときに人の目を気にしてしまったり、内なる「毒親」を気にしてしまったりということが起こり得ます。

毒親に悩まされている人のうち、少なくない人がこの内面化された「毒親」に苦しめられているのではないかと思います。時には幻聴や幻覚、悪夢となって襲ってくることもあります。

毒親は「内面化」されやすい

親という存在は少なからずの子どもにとって身近で、それゆえに影響力のある存在になることが少なくありません。そして長い時間を一緒に過ごす場合も多いと思います。そのため、親は子どもにとって「内面化」しやすい対象と言うことができるでしょう。

それは子どもにとってよくない影響を与える存在である「毒親」にも共通して言えることです。多くの時間をともに過ごす分、自分にとって害を与える姿や抑圧する行動を脳内に刷り込んでしまうのです。そしてその結果、毒親から距離を置いても「毒親」の支配から逃れられないということが発生します。

毒親から脱却するには、この内面化された「毒親」の存在を上塗りしなければならないと考えています。そのための方法としては専門家のケアや親に代わる存在に頼ることなどが挙げられます。

また違う対象を内面化するというのも一つの方法です。「毒親」ではない、自分を肯定してくれる存在を内面化することによって、内なる「毒親」の影響を相殺することができます。

いずれにしても必要になることは、内面化された「毒親」の存在に気が付くことでしょう。その存在を自覚することによってはじめて、対抗したり存在を上塗りしたりという方法がとれるためです。

 

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