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I am the heartgazer. ACの独り言

心理的虐待サバイバーの経験や考察を執筆していきます。

「経済的虐待」という概念の提唱

こんにちは、omeletです。

今回は「虐待」の種類について、「経済的虐待」という概念を提唱したいと思います。

 

「虐待」というものは大別すると以下の4つに分類されます。

 

・身体的虐待(例:肉体的な暴力)

心理的虐待(例:暴言)

育児放棄(例:医療ネグレクト

性的虐待(例:子どもにたいする性行為)

 

子どもに行われる加害はおおよそこれらに属すると考えられていますが、私はここに「経済的虐待」というものを加えて考えたいと思っています。

現在の法律においては子どもの財産に対して以下のような規定が為されています。

「親権を行なう者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する」(民法824条)

つまり、親は子どもの財産を管理する権利があると言えます。「管理」については

1.「管理」には、事実行為も法律行為も含まれ、法律行為には処分も含まれます。(櫻井法務行政書士オフィス, 親子関係(27)・・・財産管理権

という解釈があります。しかし「管理」をする権利があるとはいえ、例えばそれを娯楽費や生活費の補填など子どものためではなく親自身のために使うというのは「管理」と言えるのか疑問が残るところです。なぜなら子どもの財産の本来の所有者は子ども自身であり、本来は子どもが子どもの意志で使うものです。それを代わりに使用する立場の人間が自身のために勝手に使うことは、子どもの十分な合意を得て行っているとは考えにくく、子どもの意志や権利を過剰に迫害しているのではないかと考えられます。加えて、この権利には以下のような義務が発生すると言われています。

3.子どもが成年に達した時は、親権者は、遅滞なく管理計算する義務があります。(櫻井法務行政書士オフィス, 親子関係(27)・・・財産管理権

このことから、親は子ども時代に管理されていた財産を「どのような財産があり、どのような理由でどのくらい使用したのか」ということを明らかにしなければならないということです。子どもの財産を何らかの用途に使った場合、それを子どもに説明する責任があるのです。

娯楽費や生活費の補填を勝手に子どもの財産で行う親がそのような「説明責任」を果たすということは考えにくいでしょう。すなわち、「子どもの財産を自分のもののように勝手に使うこと」は不法行為に繋がる行為ということができます。

 

以上のことから、「不当な金銭や財産の管理」は子どもの抑圧となりうると言えます。そのため、これを「虐待」の一種とすることも可能だと私は主張します。そして同時に「経済的虐待」を以下のように定義します。

 

「経済的虐待」:保護者が子どもの財産を、本人の合意なしに、あるいは脅迫や虚偽、それに類する行為によって得られた合意によって利用すること。

 

経済的な問題は、財産権が「未成年が制限される権利」として代表的なものの一つであるため、「虐待である」「加害である」と言いづらい側面があると思います。その一方で、親による金銭・経済的な搾取に悩んでいる人々は少なくないのではないかと感じています。

このことを「虐待」と規定することによって、少なからず救われる人がいるはずです。親による金銭的・経済的被害を受けた人が「これは虐待である」と声を上げることで、「虐待」としての認知が広まり、将来悩む人の助けになれればと考えています。

 

 

 

<筆>

omelet〔烏丸 遼〕:毒親持ちのAC(ヒーロー・ケアテイカー・ロストワン)でセクシャルマイノリティの23歳、研究家・文筆家志望。大学で社会学を学び、勢いに任せてAC自助グループ「ハートゲイザー」を結成。毒親やACについて社会学的に分析できないか、日々模索中。

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